香川県はうどんの国で高松市はうどんの町

おいしい讃岐うどん

香川県高松名物の讃岐うどんは病み付きになるおいしさです。

子供からお年寄りまでファンの多いこの食べ物はどんなものなのか、定義はある のかなど知りたいことは山ほどあります。 なのでここで全国生麺類公正取引協議会による讃岐うどんの基準を解説して、 皆さんの好奇心を満足させる作業に移りましょう。 まず大前提になりそうな項目、生産に関しては香川県で製造されていることが 本場の麺である条件になっていますが当然ですね。 福岡県や岐阜県、静岡県で製麺された品は本場の讃岐うどんのではないので、 「ご当地直送の讃岐うどんです」と宣伝してはいけません。 産地偽装で訴えられ事件になりそうなブラックな行為ですし、舌の肥えたお客さん が食べれば見破れらてしまうでしょう。 上京してきてふるさとの味を懐かしく思った香川国民がふらりと愛知県にある 讃岐うどんのお店に入ってお食事をしても、違和感を感じ取って「これは違う、 子供の頃に毎日食べていた麺ではない。見た目はそっくりでも味と食感が違う。 店主を呼べ!」と騒ぎを起すかもしれず、とにかく本場の味を再現することは 不可能に近いようなのです。 水も違えば気候も違いますし、蕎麦がおいしい地域やうどんがおいしい地域は 環境も整っているから名物が生まれるのです。 なので同じ粉を使っていても製麺された品の出来は同一ではありません。 技術的な面、製造方法については加水量が40%以上、加塩量は3%以上とされて おり、これはあまり特別なことではなく楽々クリア可能な項目となっています。 熟成時間2時間以上ともありますがこれも標準的なおうどんとそう変わらず、 讃岐らしさはここにも見当たりません。 麺の固さに関係ありそうでないような項目に15分以内に茹で上がるもの、 とありますが、これもそんなに特殊な条件ではなさそうです。 ラーメンや蕎麦に比べて茹で時間時間が長いのがうどんですが、それでも20分や 30分もかけなくても充分おいしくなります。 太いから長く茹でる、ですが長時間お湯の中に入れておけば柔らかくなりすぎて 歯ごたえもなくなり、ふにゃふにゃの麺であまりおいしくはありません。 強いコシが特徴な讃岐だからこの項目があるのでしょうが、これを無視しても 食べた人が納得するかもしれない、そんな微妙な感じはします。 だいたい火加減やお湯の温度、釜の大きさによっても麺に最適な茹で時間は違って きますし、それらを定義しないで時間だけを定めたところで大きな意味はないのでは、 とも思ってしまうのです。 まああまり細かくルールを作っても鬱陶しがられそうですし、とりあえずこれ位 は決めておくか、と設けただけかもしれません。 いちおう上記を全てクリアしていれば名産品、本場の讃岐うどんを名乗ることが できるので、飲食店経営者はメモしておくと新メニュー作りの参考になるでしょう。 あと製麺に関しては土三寒六常五杯という面白い話があります。 これは塩と水の配合のことで、塩1に対して土用の時期なら水は3、寒い時期には 水6、常の時期(春と秋)は水5がいいよという意味だそうです。 香川県ではだれでも知っている言葉で、この比率で製作された塩水を使って粉を 混ぜると極上のうどんが完成すると代々言い伝えられているのです。 元々販売用に生産されていたわけではありませんので各家庭で作られる場合には この割合で、という話なのですが、これがなかなか上手いこと言い表わしている ので高松市内のうどん屋でも昔からこの格言に忠実に従って捏ねているそうです。 気候や温度が違えば粉の機嫌も変わる、もっと水が欲しそうなら多めに与えてやる、 うどん作りとは粉と会話をして粉の気持ちを理解できるようになって、初めて 一人前の仕事ができるようになるのです。